よくある相談

不貞行為よりも前に婚姻関係が破綻していたとの言い分は通るでしょうか?

婚姻関係が破綻していることの意味

 不貞行為の慰謝料請求や不貞行為をしている側からされる,離婚請求での言い分の一つに,既に不貞行為開始の時点で夫婦関係が破綻していたというものがあります。不貞行為の慰謝料の根拠は守るべき家庭の平和が存在することにありますので,既に破綻していて守るべきものがなければ,慰謝料の原因はないことになります。

 また,不貞行為をした側からの離婚請求は信義に反する点が離婚制限の大きな理由になります。既に破綻していたと言えれば,信義に反しない・そもそも破綻の原因に不貞行為はあたらないということができることになります。

 

 そのため,既に破綻しているといえれば,離婚請求や慰謝料請求での局面は変わってきます。ただし,破綻しているかどうかはいくつもの事実関係を評価してのものですし,別居≠破綻ではない点には注意が必要です。

破綻の証拠と破綻の状態とは?

 破綻についてはハードルが相当高い点に注意をする必要があります。単に同居していて会話が少なくなっていた・ある程度ぎくしゃくする生活状況であったという程度では破綻と評価される可能性は低い傾向にあるように思われます。また,別居自体は夫婦関係が悪化している様子を示す兆候といえますが,単身赴任ではそうとは言えませんし,家庭内別居も同じく兆候とは言えるというところがあります。

 

 このうち,別居についてはその経緯(大きなケンカが続いていたのか・単なる冷却期間でという話し合いがされたのか等)等からその意味合いや修復困難さは変わってきます。また,別居直後よりもそこから時間が大きく経過しているかどうかによっても変わってきます。離婚を前提にしていた別居・離婚の具体的な話が出ていたというのであれば,破綻(修復困難)と評価されやすくなります。

 そのため,離婚についてのやり取りがされているメールやLINEのやり取り・離婚届・その他会話などのやり取り等が破綻を示す事実の証拠となりえます。これに対して,別居近くまで家族旅行その他に行っていたという写真やメールその他が破綻していないという証拠になります。

 

 家庭内別居の場合には,同居はしているものの実質別生活その他の事情から,夫婦としての実態があるといえないという話ですから,事実関係を示していくのは簡単ではありません。ここでも先ほど述べた証拠関係から破綻していた(反論としての破綻していない)という話を示していくことになります。ちなみに,仮に裁判になった場合は特に慰謝料請求の場合,破綻していたということは責任を負わない(破綻していたと主張する)側で積極的に示していく必要があります。

 

 少なくとも,別居した・夫婦の会話その他が少なくなったなどが破綻に直結するわけではなく,破綻という言い分が認められることには相当なハードルがあることには注意が必要です。また,不貞行為があったという時期までのやり取りや経緯を整理してみて,破綻といえるだけの事実関係や裏付けがあるといえるのかどうかを考えておく必要があるでしょう。

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