よくある相談

離婚の際の税金での注意点とは?

支払う際の税金と注意点

  感覚的には分かりにくいところですが,離婚の際に税金で特に注意が必要なのは,お金を払う側に課せられる税金です。特に,財産分与の際の税金には注意をする必要があります。

 

 離婚の際には,婚姻費用や養育費といったお金の支払い・慰謝料の支払い・財産分与での財産を分与するということが,支払い等の形として考えられます。個人にかかるお金は経済的利益を得た(通常は何かしらのお金をもらう形で収入を得た)・財産を得ることで課税されることになります。ここからすると,支払いをする場合には何も得ていないのであるから,課税は考えられないと思われるところです。

 しかし,財産分与の義務を果たすことは,裁判例上具体化された財産分与を行う義務を免れることになる利益(これを経済的な利益とみる)を得るということで課税の対象となります。これは,所得税の所得項目の中にある譲渡所得に該当すると考えられていることを意味します。譲渡所得とは,簡単に言えば相手に何かしら資産を譲渡することで,それまで資産について偶然の要因で蓄積してきた利益部分を得ることになるから,そこに課税をするというものです。財産分与の場合には,買取の場合は別として(この場合は通常の売買による譲渡)お金は入ってきません。

 

 譲渡所得は,収入となるべき経済的な利益(ここでは果たした財産分与義務の内容,通常は分与で渡した財産の金額)から購入などの取得時に払ったお金等をマイナス計算したお金になります。所得税の計算では他の種類の所得との損益通算(マイナスの清算)がなされる部分などもあるので,これだけで納税義務が生じるのかは定かではありません。ただし,財産を譲渡する場合の金額が大きければ,課税される可能性もあります。

 先ほど触れた,購入時の費用(自宅などの場合)をマイナス計算して,マイナスの金額になれば課税はされませんが,購入時の費用がわかる資料が必要になります(ない場合には,5%分の身が購入にかかったと評価される場合がありえます)。特に不動産といった登記によって財産の移転が原因とともに判明するものについては,課税の可能性を頭に置いてく必要があります。

 

 予想していなかったということで,後で財産分与による移転の効力を否定することができる可能性もあるにはあります(例えば,課税されないことを夫婦お互いに前提としていた場合など)が,離婚後のトラブルになる可能性もあります。課税を必ずしも逃れられるとは限りませんので,注意が必要でしょう。

お金などをもらう際には?

 婚姻費用や養育費をもらうことについては,法令上非課税とされています。慰謝料についても同様です。財産分与については無償でもらうのではないかと考えてしまいがちですが,基本的には精算になりますので,そうはなりません。ただし,財産分与で本来もらうことができるだろう金額よりも相当大きな金額の評価がなされるお金や財産をもらう場合には,贈与に該当すると考えられる可能性があります。

 贈与税の税率は所得税の税率よりも高いという面があります。財産分与自体は,様々な要素を考慮するとされていますが,夫婦で築いた財産の清算という意味を強く持ちますので,あまりに大きな金額の場合には課税リスクには注意をしておいた方がいいでしょう。

 自宅など不動産を取得する場合にも同じように清算による財産分与といえる場合には,かからないです。ただし,清算以外の他の要素による場合などには不動産取得税が課されることもありえますので,事前に確認をしておいた方がいいでしょう。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。