よくある相談

妻が子供を連れて突然家を出た場合に,親権や監護権を争う際に「連れて出た」ことはどの程度考慮されるのでしょうか?

違法な連れ出しかどうかが考慮されます

  子供の監護者の指定や親権者が父母どちらがいいのかという点で争いが生じた場合に考慮される要素はケースによりますが,複数存在します。このうち,別居の経緯が問題になることもありますが,そこでは連れ去りの経緯に違法性が存在するか(現在の監護が違法な連れ去りから始まったのかどうか)が考慮されることがあります。考慮の有無やその位置づけは裁判例により異なります。

 連れ去りに違法性が存在するのかどうかは,単に突然子供を連れていなくなったという事実だけでなく,その際の態様や安定した監護環境をどこ(誰)から得ていたのかなどの点が考慮されます。また,連れ去りの点が大きく考慮されるとは必ずしも限らず,あくまでも要素の一つという傾向にあるようです。

専業主婦で子育てをメインで行っていた妻の場合は?

 別居まで子育てを行っていた部分が多い(時間が多い)側が子供を連れて家を出た場合には,特に連れ去りの対応で大きな問題がなければ,違法な連れ去りと評価されない可能性が高くなります。これに対して,別居前に子供の面倒を見ていた時間が少ない側が連れて出た場合には,違法な連れ去りと評価される可能性はありえます。もちろん,連れて出た際の態様や連れて出るだけの緊急の必要性が存在した場合には,そう簡単に違法な連れ去りとは評価されないでしょうけれども,こうした点には注意が必要です。

 

 別居後の監護状況がどうなのか(例えば,あちこち転々としている)といった事柄は連れ去りが違法かどうかという点にも影響はしえますが,別居後の監護状況の安定という別の要素に強くかかわる可能性があります。

 

 別居前にメインで子供の世話をしていたのは誰かという点が争いになるケースは相応に存在します。生活スタイルから見てどちらが多くかかわることができるのか・かかわりを示す証拠や保育園や幼稚園の送迎など争いがない事実や証拠などがポイントになります。また,別居前の子の監護の状況に問題があれば(問題が大きく存在する根拠が必要になります),単に便居前に面倒を見ていた時間が長いということで,連れ去りの違法性が当然にない・主たる監護者だから監護に適しているという話には当然にはならないという点があります。

監護権・親権で考慮される事情と「連れ出し」の考慮

 監護権や親権が争いになる場合,別居前の監護状況や主たる監護者(監護に大きな問題があったかどうか)・別居の経緯・監護する能力(経済的能力はそこまで重視されない傾向になるように思われます)・監護補助をする方の存在や態勢・別居後の監護状況,子供の意思や結びつきなどは考慮されます。

 連れ出しの違法性の有無は,別居の理由や経緯だけでなく,別居前の監護状況ともかかわる部分がありえます。子供の年齢が15歳以上でなくても10歳以上であるなど,年齢がある程度以上であれば子供の意向も考慮されやすい部分が出てきます。別居をした理由に子供の意向が関わるということであれば,連れ去りの違法性とも関係が出てくる可能性があります。

 とはいえ,一連の事実関係を踏まえ,どのような評価になるのかどうかを考えておく必要があります。

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