よくある相談

養育費の取り決めをした後に,「事情の変更」がある場合にも養育費の金額の変更がない場合はありうるのでしょうか?

事情の変更とは?

 法律上,養育費を変更する際には,当初取り決め後の事情変更が存在することが必要とされています。話し合いで決まらない場合には家庭裁判所が判断をすることとされています。ここでいう「事情の変更」とは,当初合意時に予期していなかった事情の変更を指すとされています。合意時に存在しない事情による減収や相手の増収・再婚や再婚相手との間に子供が生まれた,相手方が再婚し子供を再婚相手と養子縁組させたというのが主なものとして考えられます。

 ちなみに,ご自身が再婚しても,再婚相手に収入が多く存在し(フルタイムで仕事をしている場合など)には変更にならない可能性もあります。また,相手(元妻側)が再婚しても,再婚相手と子供を養子縁組させていない場合には,いくら事実上再婚相手が扶養していても,法律上はご自身の扶養義務の状況に変化はもたらしません。つまり,養育費に変動をもたらしません。

養育費が変更される場合とは?

 民法という法律の規定上は,養育費の変更は,家庭裁判所が取り決め後に事情変更があった場合に,変更することが「できる」としています。言い換えると,事情の変更がある場合は必ず養育費を変更しないといけないとは限りません。したがって,タイトルの話についていえば,事情の変更を認めても養育費が変更されない場合はありうるという話になります。

 

 実際,裁判例の中(熊本家裁平成26年1月24日審判)には,事情の変更を認めつつ養育費の減額を認めなかったものがあります。背景事情として,養育費の支払いを高額の所得(2000万円を超える)医師がしており,離婚後再婚と連れ子の養子縁組・新しく子供が生まれたという事情があります。

 こうしたケースで,この裁判例では背景事情故に事情の変更を認めつつも,養育費減額の相当性が存在しないとして減額の請求を認めませんでした。ここで相当性の考慮として挙げられている事情は,

 ①事情変更が養育費の取り決め時に予期しないものではなく,自ら作り出しているという点

 ②養育費の支払いをする方の収入などから見ると,前婚の子どもも少なくとも大学卒業までの養育費取り決めをしてもおかしくないのに,20歳までとしたのは養育費が高額だからである。したがって,変更はできるだけ避けるべきであるという点

 ③高額所得者(算定表の上限である2000万円を超えている)方について,貯蓄率などが高いため基礎収入を下げているのだから,一度決まった養育費は高収入や貯蓄等のコントロールにより努力して維持すべきであるという点

等の点を概略挙げています。

 ただし,この判断は不服申し立て(福岡高裁平成26年6月30日決定)により変更されています。この判断では,基礎収入の算定・事情変更の有無を判断し,変更を認めて算定表にそって減額を認めています。この判断では,事情変更の他に変更の相当性を考慮していませんが,事情変更が認められれば原則として変更の相当性は認められるという判断があるのかもしれません。1審が触れた変更の相当性への考えについては触れていません。排斥もしていないので,先ほどの①から③では該当しないにしても,変更の相当性が存在する可能性は存在します。

 いずれにしても,事情の変更を認められるかが大きな問題で,その後例外的な事情があるのかどうかを先ほどの裁判例を含めて考えていく必要があります。

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