よくある相談

離婚後の子どもへの虐待等について,親権者変更を申立てられない場合はあるのでしょうか?

親権者変更ができる方とできる場合,法律の仕組みとは?

 法律上,離婚の際に未成年である子供の親権者を指定することは必須です。離婚後に「事情の変更」があれば,親権者の変更を行うものとされています。法律上は「子供の利益のために必要と認めるとき」は,家庭裁判所が「子の親族」の請求があれば,親権者の変更をすることができるとされています。

 

 親権者の変更に必要な事情の変更は「子供の利益のために」親権者を変更することが必要と家庭裁判所に認めてもらえるものである必要があります。父母の合意という点以外にも変更を必要とする事情(合意の背景など)がどのようなものであるかが問題となりますし,親権者変更の申立てを行う際には,そうした事情を明らかにする必要があります。

 離婚の際に「子の福祉」のために考慮した事情に変更がなければ,親権者変更を必要とする事情はないでしょう。そのため,例えば,親権者になった側が病気や経済的な困窮その他の理由で子供を養えないが,相手が養うこともできるし子供との関係も良好であるという場合には該当する可能性があります。もちろん,虐待にあたる事実が証拠から言える・争いがない場合も他の事情によって変更を必要とする事情となりえます。

妻側が再婚し,再婚相手と子供を養子縁組している場合は?

 ただし,法律上親権者変更を想定していないということで,親権者変更が認められないとされる場合があります。それが,ここでの見出しのケース(親権者が再婚し,子供を再婚相手と養子縁組した場合)になります(最高裁平成26年4月14日決定)。

 理由は,先ほど触れた親権者変更について定めるルールが,夫婦が離婚して親権を持つ親が片方である場合を想定したものであるためです。言い換えると,再婚や養子縁組によって養親との共同親権になる場合は想定されていないためというものです。問題になったケースでは,裁判所の事実認定では離婚の際に親権者と定められた親が再婚し,再婚相手と養子縁組をしたというものです。その後に暴力や体罰等がなされ警察や児童相談所も入り,虐待と判断したケースです。

 

 このケース自体では,親権者変更を家庭裁判所側で認めて戸籍手続きを行おうとしたところ,拒否されたというもので,その取消しを求めたものです。結論は,本来は親権者変更はできないはずであるが裁判所の判断が確定したのだから,原則はそれに従って戸籍上の手続きをするべきということで,戸籍手続きの拒否は取り消されています。

 

 いずれにしても,この場合に虐待行為を行う親による親権行使への対応は,親権の停止や喪失の審判手続きにより対応することが示されています。親権停止には,虐待などによる子の利益を害する事情(喪失には著しく害する事情)が要求されています。親権の停止や喪失の後の対応も考えておく必要があるでしょう。この場合には未成年後見その他の手続きに至るものと思われます。

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