よくある相談

負債がある・仕事を辞めた場合に婚姻費用や養育費には影響があるのでしょうか?

負債の支払いとの兼ね合いで支払いが厳しい場合は?

 負債の原因が同居中の生活費に関して生じたものなのかによって異なってきます。生活費に関して生じた負債(生活をするための借り入れである場合)には,その負担は借主であるご自身以外にも生活にかかる負担であるとして考慮される部分が出てきます。その返済分も考慮しての支払いの額が決まってきます。

 

 これに対して,車や家のローンなどの財産形成による負債やその他の理由による負債の場合には特に考慮されません。夫婦・親子間での生活を支える義務が優先されることになるためです。この場合,話し合いによって相手が金額を譲歩する場合はともかく,そうではない場合には裁判所の判断では金額面で考慮されることはありません。話し合いでの譲歩という面では,相手がそもそも月の負担額自体を譲歩する場合もあれば,当面厳しいだろうか金額を少なくするものの,後にその分を多くするという内容等もありえます。

 支払いが厳しい場合には,あとで述べるように破産をしても厳しいのかどうかという話が出てくる可能性もありえます。とはいえ,まずは支払いが厳しい点をきちんと説明して月々の負担についての話し合いをしていくことになると思われます。その中には毎月の収支を出すということもあるでしょう。ただ,相手がかたくなな場合には,話が難航する可能性があります。

 

 毎月の支払いが漆い場合に,負債が多いというケースであれば自己破産(負債の支払い義務を原則なくす免責手続き)の申し立てを行うことを考える場合も出てくるでしょう。ただし,この場合でも婚姻費用(生活費)や養育費は未払い分を含めて支払い義務は法律上残りますし(減りません),税金等公租公課と呼ばれるものの支払い義務も残ります。そのため,婚姻費用や養育費・税金関係の延滞がある場合には,仮に自己破産をしても相応の負担が残る可能性はあります。

 自己破産をするかどうかについては,ご商売をされているのかどうか・負債のできた原因などに応じて判断すべき部分もあります。婚姻費用や養育費の不払いがあって一度給与の差し押さえがなされると,支払いをしてもその後の差し押さえも続く(取り下げる・勤務先が変わるなどすれば別)点にも注意が必要です。

仕事を辞めた場合は?

 事情変更があった場合には一度金額を取り決めても変更ができる場合があります。ここでの事情変更にあたる事情として退職による収入の減少あるいはなくなったということもありえます。退職については,勤務先の倒産や事業の破綻・健康状況などの場合,職場の人間関係その他の事情の場合など原因は様々ありうるところです。

 

 主に問題となるのは,自らの判断で退職をしたというケースです。他の健康問題や事業の破綻などは裏付け資料から退職や減収の事情がやむを得ないものであることは明らかです。これに対し自らの判断の場合には稼働能力があるということで,減収が考慮されない可能性があります。他のコラムでも触れていますが,どうしても退職しないといけない事情があるとは言いにくい場合(裏付けがない場合)等にはそれまでと同じ収入あるいは賃金統計(賃金センサスなど)上の平均収入があると考えられることもあります。

 この場合,婚姻費用や養育費の支払い金額は特に変わらない可能性があります。他方で実際には収入が途切れるということもあるので,未払い金額が膨らんでいくリスクがあります。このリスクは一方では将来差押えを受ける可能性が続くという面があります。他方で相手も未回収リスクがあるという面があります。後者のリスクが相手にあるからと言って未払いを続けることはご自身にも負担が大きく生じる可能性があります。

 実際退職をする場合には,こうしたリスクを念頭に置いておく必要があるでしょう。

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