よくある相談

離婚前の時点で妻側から財産の処分を制限される申立を受けた場合は?

仮差押えと仮処分の書類が裁判所から届く場合があります

  仮差押えや仮処分と聞いても何のことやらという気がするところですが,簡単に言えばご自身名義の財産(土地や家,預金)の売却や引出といった処分ができなくなることを指します。実際には家や土地の売却も原理上はできるのですが,後でその効力がひっくり返る可能性があるため,事実上はできないとみていい話です。

 

 問題は何がためにこうした話が出てくるのかという話です。例えば,結婚後に購入した家(毎月の収入から支払う住宅ローンがある場合など)をご自身名義だからということで売却しようとした場合等が典型的にこうした話が出てきます。これは,離婚の際の財産分与の対象となる家を売却できないように⇒財産を保全するために行われる手続きです。したがって,財産分与の話が問題になる場合には出てきます。このほかに,離婚に際しての慰謝料が問題になる場合や毎月の生活費(婚姻費用)の支払いが問題になる場合にも出てきます。

 

 離婚の際の財産分与や慰謝料についての仮処分や仮差押えについて触れておきますと,これらは離婚裁判で問題となるお金に関する権利をあらかじめ保全するためのものですから,離婚裁判やがあることが基本的には前提となります。とはいえ,仮差押えや仮処分の申し立て(家庭裁判所に対して行う)のみを行い後から離婚裁判(調停)の申し立てを行うことも可能ではあります。ここでは,申立てる側(ここでは妻側を想定していますが,実際には夫側からの申し立て自体も可能です)で申し立てに理由があることを示す必要があります。そこでは,裁判になっても離婚がみちょめられる根拠が存在すること・慰謝料であればその原因が存在すること・離婚裁判より前に処分を制限するだけの必要性があることを示す必要があります。慰謝料の原因になると不貞行為の証拠や暴力行為やけがの証拠などがありえます。必要性の根拠は例えば,財産の浪費が激しい・家を売ろうとしている兆候が証拠付きで存在する等の話です。

 思い当たらない場合や離婚を争う場合には,この申し立てを争う(裁判所から出された命令について不服申し立てを行う方法も含みます)ことになります。離婚は争わないけれども,夫婦共有財産ではなく他にある木夫婦共有財産で十分に財産分与での支払いの問題が解決するというのであれば,処分制限の必要がないということも言い分としてはありうるでしょう。ちなみに,財産分与といっても現物ではなくお金で清算ということも十分考えられるところですから,他の部分で支払いに問題があるといえるのであれば夫婦共有財産ではないご自身名義の財産への処分制限もありえます。

 財産の処分制限が大きい影響を与えることはなく,離婚自体を争う気がない場合には,そのままにして離婚の話し合いを進めることもありうるでしょう。どうすればいいのかは状況を見て判断することになります。また,処分制限をされると困る場合(ご商売をしていて借り入れなどがある場合には,銀行などの借入先から一括請求を受けるなどのリスクあり)には,処分制限の必要性があるとは言いにくいようにしておく,不服申し立てなどの対応を考える必要が出てきます。

 なお,こうした処分制限の申し立てにあたっての優位点は細かく存在する存在するところですが,ここでは省略します。

離婚後はどうなる?

  離婚後については離婚裁判ということはなく,生活費(婚姻費用)の支払いというものはありえません。しかし,離婚後2年以内には財産分与の申し立てをすることは可能ですし,慰謝料請求も時効にかかるまでは請求は可能です。離婚の際に解決をしている場合には,もちろん請求はできませんので,とりあえず離婚をしたけれどもという場合に問題となります。離婚届けはとりあえず出したという場合が典型例にはなります。

 

 こうした場合に,お互いの話し合いで解決すれば問題はありませんが,難しい場合には財産分与の調停や審判の申し立てを家庭裁判所に申し立てる(調停を先にするのが原則)ことができます。これに先立って,とりあえず審判前の保全処分ということで同様に処分の制限の申し立てを受ける可能性があります。ここでも財産分与の対象となるものかどうかや仮に財産分与の対象でない財産であっても,分与内容に従った支払いができない可能性が高い等の必要性があれば処分制限の対象になることはありえます。

 ここでも,財産分与の手続きの中での最終的な解決を図っていくことにはなりますが,処分制限の必要性などに問題があると考える場合には保全処分を争うことはありえます。

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