よくある相談

取り決めた養育費不払いによるリスクと財産情報の取得などを受ける場合とは?

取り決めをした場合とは?その場合のリスクとは?

 養育費の取り決めは口頭による合意から公正証書などの作成・離婚調停などでの合意によるもの・養育費の審判によるものなどが存在します。公正証書・調停調書では合意が成立しているのは確実であり,審判による場合は家庭裁判所等による判断があり,金額はいずれの場合にも決まっています。離婚協議書その他の合意書によるものは合意の成立を後から争う余地は広くなるものの,同様に合意は通常成立していることになります。

 離婚協議書その他の合意書によるものと,公正証書や家庭裁判所の調停などとの違いは,不払いの場合に当然に差し押さえや財産開示などの手続きには至れないものの,合意としての拘束力があります。この場合に不払いがあれば,未払い分の支払いを求める裁判を起こされるリスクがありますし,不払いの傾向が強く(支払をする見通しがない)場合には未払い分だけでなく将来分も含めて支払いを求める裁判を起こされる可能性があります。

 

 これらに対し,曖昧なやり取りあるいは約束なく(逆に支払わないという口頭の約束)があった場合に,後から一定の支払いを求められることがあります。こちらについては,明確な合意がないため,当然に請求された金額を支払う義務はないものの,一度支払いをしない約束があった場合を含め,家庭裁判所での養育費の調停を申し立てられた場合には,一定の支払いをしなければならないことになる可能性があります(こちらは最悪審判という裁判所の判断によります)。

 養育費の支払いがされていない・取り決めがないケースは面会交流などを含めた交流もないことがままあるかもしれませんが,面会交流と養育費は理屈上リンクしないことには注意が必要でしょう。もっとも,何かしらの交流の話を一緒に進めることはありえます。

 いずれにしても,何かしらの金額での請求を一定期間までにすることを求める連絡が来た場合には,合意がない場合には当然に支払い義務がない点・ただし,全くないとは限らず取り決めによる点には注意が必要です。

 

 養育費の未払いがある場合の時効期間は各支払いを開始するときから生じることになりますが,法改正の影響を受けて,合意をした時期で期間が変わっていることに注意が必要です。以前の合意なのかどうかによってこの辺は変わってきます。以前当事務所のコラムで取り上げた期間は法改正前の期間になります。

財産情報の取得を受ける場合とは?

    面会交流・養育費の不払いへの回収の改善のための法改正が令和4年6月時点でも議論されていますが,既にここ数年前に回収の実効性を上げるための改正がなされています。そこでは財産開示制度(不払い側が裁判所で財産内容に関して質問等を受け回答をしなければならない制度)に応じない場合などのペナルティを挙げる制度の他に,勤務先や預金・不動産などの照会がされる制度が設けられています。

 今回は財産情報の取得を受ける場合について触れておきます。相手が財産情報や勤務先情報を持っていればそこに向けて差押さえなどの手続きを行うことになります。これがうまくいかない場合やうまくいかないだろうことが裏付けられた場合には,先ほどの財産開示の申立てがなされます。給与などに関する情報(勤務先に関する情報)・所有不動産に関する情報の照会はこの財産開示の制度を使ってから一定期間以内に申し立てられる可能性があります。

 このほかに,財産開示の申し立てを経なくても,同様に差し押さえなどでの回収ができない・できないであろうという事情が裏付けられる場合には,預金などの情報の照会を申し立てられる可能性があります。これらの情報取得は,金融機関や法務局などに照会をされるもので,預金に関する照会は隠匿防止のため一定期間送達がなされない等の点で注意が必要です。つまり,照会があったから財産を動かして回収を受けないようにするという点に対応がされている部分があります。

 今後の法令改正の動きも無視できませんが,こうしたリスク(給与の差し押さえの場合には別のリスク)が存在する点にも注意が必要でしょう。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。