よくある相談

将来予測される大学進学や定年退職といった事情は養育費を決める上で同考慮されるのでしょうか?

養育費の取り決め時・審判時に予見される事情はどこまで考慮されるのでしょうか?

  養育費の取り決めをする際に,子供自身が進学校や大学の付属校に在籍しているということはありえます。その際に大学進学をした場合を前提にした予測される不足分を養育費の取り決めの際に支払う義務があるのかという点が問題としてあります。将来定年退職の制度がある会社では延長の可能性はあるにしても確実に減少が予測されるということもありうるでしょう。こういった点はどのように考慮されるのでしょうか?

 

 この場合に特に進学を考慮するべきという考えもありますが,予測することができる事情であっても,その事情が具体的に確定してからの対処とすべき見解も存在します。こうした見解を前提に具体的な大学進学という事情が確定した後には養育費の支払い終わりの時期の延長を認めた裁判例として東京高裁平成29年11月9日判決判例タイムス1457号107頁が存在します。決定文等によると,このケースでは一度離婚判決で養育費が決まりその後養育費の減額⇒大学付属高校に進学しているから大学進学は確実として通常の大学卒業(22歳の後の最初の3月まで)との変更を求めたものの認められなかったという背景があります。その後,大学進学後に学納金の一部負担と支払い終了時期を22歳の後の最初の3月までの延長を求められたケースです。

 1審では支払い側の親の進学への承諾がないからということで請求を認めなかったものの,2審では進学という事情が確定して生じたことを理由に支払いの終わりの時期の延長についての請求を認めています。ただし,学納金の負担までは認めていません。

 

 延長を認めた理由として先ほどの点や支払いを求められた側が大学進学そのものに反対していないだろうという点や収入水準の高さや当該子どもは学業専念をせざるをえず自活が難しい点等を挙げています。ちなみにこの裁判例では,通常の養育費を超えた学費の負担は支払いを求められた側が進学を承認していたこと。支払いを求められた側の地位や収入などの諸事情の考慮が必要としている点にも特徴があります。このケースでは実際に進学したような私立大学進学には反対していたことやその付属校進学への反対があったことや地位・収入やそれまでの経緯(その前の変更時から収入が変わっていないこと等)を考慮して判断がされています。

実際発生した場合の対応は?

 先ほどの点を踏まえると,期間の延長請求や学費・学納金の一部負担を実際の進学後には求められる(そのための養育費の金額や期間の変更の調停など)・定年退職の場合にはその後に減額請求を行う等,実際に事情が確定した後に変更を求める(求められる)形になります。

 先ほどの裁判例のケースでも,収入やそれまでの養育費の金額などの事情によっては学費・学納金の一部負担を追加で認められた可能性もあります。変更までの経緯網考慮される流転には注意が必要でしょう。仮に遅く生まれた子どもである場合などには定年退職その他減収原因が生じた場合には,実際にその後に減額を求めるのかどうかを考えることになるでしょう。

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