よくある相談

離婚後子供が児童相談所の一時保護を受けた場合に,親権者変更をするべきなのでしょうか?

行政の手続きと親権者変更は別個のもの

  行政は虐待を受けている子供で保護をする必要があると認める場合には,自らの判断で法律上定められた措置をとることが可能です。また,迅速な対応として「一時保護」と呼ばれる対応をとることができます。基本は2か月以内とされ,親権者の同意なくとも行政の判断で行うことが可能です。2か月以上延長する場合には,家庭裁判所の許可が必要とされています。いずれにしても,ここでは親権者の同意が必要というわけではありませんが,延長について保護者が同意をしていれば家庭裁判所の許可は不要になります。同意をしていないと強制的に延長される可能性は残ります。

 こうした行政上の対応はそれだけの理由が存在するからなされるものではありますし,場合によっては民事での親権の停止などの申立てが必要なことがあるかもしれません。ただし,基本は児童相談所長の権限(行政側の判断)でなされるもので,親権者の変更をするのかどうかとは全く別のものです。もちろん,この一時保護(行政処分)に対して,法律の定める期間内に不服を申立てることは,法律上申立てを認められた方(親権者ではなく,行政が保護した時点で子どもを保護していた方)については可能です。

 

 民事における親権者変更と行政対応は別個のものではありますが,現に一時保護をされている場合に,親権者変更をした方がいいと裁判所が判断するだけの事情があるのかどうかは大きく問題となりえます。

親権者変更を求めるだけの事情の有無をどう考えるのでしょうか?

 婚姻して同居している場合は当然として,例えば元妻を親権者として離婚後ある程度時間経過後に子供が「一時保護」をされた場合に,親権者変更が認められるわけでありません。あくまでも,親権者変更は本人同士の話し合いではなく家庭裁判所の手続きが介在するのでそこをクリアできるだけの事情があるかが問題となります。

 そもそも,親権者変更には,離婚後の事情変更,親権者側での子どもの監護ができない・子どもの成長にとって望ましくないものとなったことに加えて,変更を求める側での監護環境や能力などが子どもの成長にとって望ましいものとなっている必要があります。ここでの監護ができない等の事情に「一時保護」が必要になった理由にあたる事実関係があるとは言えるでしょうけれども,具体的にどのような事実関係があったのかが問題になります。行政側(児童相談所)からの事情確認はありえますが,詳細を教えてくれるとは限りませんし,むしろ難しいのが基本的かと思われます。

 

 ある程度の事実関係(親権者側での監護ができない生活関係その他の事情・ご自身の受け入れ態勢や生活状況など)を主張・証拠も出して裁判所に申し立てて,児童相談所に照会(調査嘱託等)を求めることを考えることになるでしょう。もっとも,それによって変更の基礎付けといえる事情が手に入るのかは限りません。そもそも,子どもの生活状況やそこに問題があるかどうかのきっかけも分からないほどに疎遠な場合には,その関わり合いゆえに変更が認められない可能性も他の事情にもよりますが,可能性としてはありえます。

 とはいえ,親権者変更を求めるというのであれば,ある程度の子どもとの関わり合いなどはあるのでしょうから,事情や見通しも考えたうえで対応を決める必要があります。

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