よくある相談

婚姻費用や養育費を考える上での収入で考慮されないものはあるのでしょうか?

考慮される収入と注意点は?

  家庭裁判所の運用で用いられている算定表や算定式では,収入(所得)を給与所得者か自営業者かで算定の基礎(基礎収入率)が異なる形となっています。自営業者は通常所得法上の事業所得を得ている方(簡単に言えば,自分で御商売をされている方)になります。事業として行うのは,個人事業主以外にも不動産経営をされている方(不動産所得を得ている方)等,所得の内容が事業所得以外の方(所得税法上は,所得を得る源泉に応じて10種類分けられています。ここでは所得計算の話に触れるわけではありません)もいます。

 後で触れる話でもありますが,継続的・経常的に所得を得ている方は,婚姻費用や養育費を考える上での所得があるものとして考えていきます。それは,公的な制度を使っている場合でも同じで,失業給付を得ている方や年金生活を送っている方・健康保険の傷病手当金を受け取っている方の場合でも所得ありと考えることになります。

 

 通常,算定表や算定式では一定の職業費や公租公課などの経費を使っていることを前提に基礎収入率を考える(これをもとに算定を行う)ことになります。先ほど出てきた公的給付の場合には,実際には仕事をしていないことになりますから,職業費というものはないとして考えることになります。その意味は,簡単に言えば,同じ金額の場合,婚姻費用や養育費の金額が増える(支払うことになる側がこれらの公的な給付を受けている場合)・下がる(もらう側がこれらの公的給付を受けている場合)ことになります。

 所得額に基礎収入率をかける(各種費用などの支出分が当てられないとして基礎収入率を考える)ことになるので,1よりも少ない基礎収入率が上がる(生活費に充てられる分が上がる)というのがその理由です。字で書くと分かりにくいですが,先ほどの結論に至ることがここでの重要な話です。

考慮されない収入には何があるでしょうか?

 生活保護費のようにそもそも最低生活を営むための公的保障はここで言う収入として考慮されません。そのほか,先ほど継続的・経常的な収入は考慮される収入という話をしましたが,逆を言うと突発的・偶発的な収入は含まれません。例えば,退職金や不動産などの資産売却による収入・ギャンブル関係の払戻金も同様です。

 ただし,財産分与においては,その基準時までに入ってきたお金は対象になる可能性がある点は注意が必要です。

 

 これらの収入も所得税法上は収入に含まれる(譲渡所得や一時所得等)ことになり,確定申告書等には記載をされることになります。そこでは,その原因などの記載などを手掛かりに,婚姻費用や養育費の請求を受けている側としては,算定の基礎として考慮される収入ではないという言い分を準備をすることになるでしょう。

 どこまでが,こうした偶発的な収入・所得といえるかが問題になることもありえますので,そうした性質の所得であることを説得的に主張する必要があります。

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