よくある相談

個人事業主が事業に使っている財産や負債は財産分与でどのように考慮されるのでしょうか?

事業で使っている財産は分与対象になる?

 結論から言えば,なる可能性はあります。個人の生活用の財産と個人事業主(いわゆる自営業者)が事業で使っている財産は区別されていることもあれば,区別されていない場合もあります。このうち,区別されていないケースについては,個人の生活を営む上での財産と何ら変わらないので財産分与の対象から外す理由は乏しいように思われます。これに対し,区別されている場合に夫婦で築いたといえるのかは見解が分かれるところですが,これを肯定する見解が存在します。「離婚事件における家庭裁判所の判断基準と弁護士の留意点(新日本法規発行,武藤裕一氏・野口恭一郎氏の共著)」の225頁には,区別の有無で財産分与の対象から外れる理由は存在しないという趣旨で肯定する見解が記載されています。

 確実にこのように考えられるのかは判然とはしませんが,仮にこうした主張が相手方からなされる場合には区別の有無で生活にように用いるものが財産分与の足しようであるなどという理屈での反論・後で触れる事業上の負債の考慮を検討する必要が出てくるように思われます。ちなみに,リース物件のように,リース会社に権利があるものは夫婦の財産(そもそも法律上は個人事業主の財産ではない)ではないので,仮に先ほど触れた区別されていても剤残分与対象になるという見解にたっても,財産分与の対象からは外れるかと思われます。

 

 このほか,仮に財産分与の対象になるとしても預貯金はともかくとして,固定資産などはその評価額をどう考えるのかという問題が出てくるでしょう。また,日本で数多く存在する小規模な会社の財産については,この出資株式はともかく会社財産と個人の財産は基本的には別個のもののため,あ遺産分与で会社の財産を考慮するということは基本的には考えにくいものと思われます。

事業で負っている負債については考慮されるのでしょうか?

 事業用の財産と個人用の財産が区別されていないケースでは,そもそも事業で負っているとされる負債も実際には生活用の負債とも考えられるので,考慮されない理由はないものと思われます。これに対し,区別がされているケースについては,事業用の財産を財産分与の考慮対象にするのであれば,負債のみ考慮しないと考える理由はないことになります。先ほども触れましたが,仮に財産だけ考慮すべきという話が出た場合には,そもそも考慮すべきなのかという点とともに負債について考慮するのかの検討をする必要も出てくるでしょう。これに対し,事業で使っている財産を考慮しないのであれば,負債だけを考慮する理由もなくなってくるものと思われます。そもそも,その負債の使途に関わってくる場合もあるかもしれません。

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