子どもの監護権や親権が問題になった場合における不貞行為等の意味合いとは?
監護能力やこれまでの監護との兼ね合いでの位置づけが問題です
子どもの監護権や親権が問題になった場合に,相手方が不貞行為をしている・夜の仕事その他をしているから監護をするには適さないという話はケースによっては出てきかねません。ただ,離婚原因の有無や慰謝料請求の場合ではないので,不貞行為が存在したかどうかはそれだけでは,監護権や親権を考える上では位置づけが不明確です。
これまでの監護状況やそこでの問題点の有無や内容,現在の監護状況や問題の有無,今後の養育状況やの見通しや能力が多く問題になるところです。したがって,不貞行為についてもこの関係でどのような影響や意味合いを持ってきたのかが重要なポイントになります。単に,不貞行為をする人間だから等というだけでは相手の人間性の非難になるだけで,ポイントからずれてしまう可能性が高くなります。
ここでは不貞行為が別居前にあったのであれば,そのことによって家を空ける・監護をしなくなった(例えば,幼い子供を置いて家を出ていることが度々あった等)具体的な監護への支障があったのかどうかが問題になります。相手が反論することもあるため,その場合はその根拠になる事項の有無(証拠など)が問題になってきます。子どもに対して無視や暴言などがあるのであれば,そのことが監護の問題になります。ご自身の方がそのことで監護の大半を行うようになったのであれば,相手がその方と交際を続けることは監護への具体的な支障になる可能性はあります。ここが実際にどうなるのかはケースバイケースです。単に1回夜遊んでいたことがあったというでだけでは,あたりにくい可能性があります。
夜の仕事をしている等の話も同様で,そのことによっての子どもへの具体的な監護上の問題があったのかどうかとその内容が問題になってくるでしょう。ご自身以外に対応する方がおらず結局ご自身の監護によってきちんと監護を行うことができたという状況が継続していた場合には,他の監護に関する事情にもよりますが,このことによって監護への問題や関りに関する話につながってくるものと思われます。
具体的な支障がない場合の考慮は?
先ほどの話では具体的な監護状況への支障やそもそも主に監護していたといえるのかが問題になるという話を触れました。具体的な支障がない場合,例えば不貞行為があっても子どもの監護に問題のない時間に会っていた・会っている等の頻度が極めて少ない等の場合には監護状況には問題がないという話になる可能性があります。もちろん,人格非難をしてもその気持ちはわかるものの,考慮対象の話から外れてしまうという問題が出てきかねません。
したがって,離婚等を考える原因が相手の不貞行為などである場合に,監護権者親権に関して考えるにあたっては,相手がこれらを争う見通しがどの程度あるのかどうか・仮に争いが生じる可能性が強ければ子どもの監護への問題を具体的に示せるのかどうかを検討しておく必要があるでしょう。