よくある相談

養子縁組を理由とした養育費の減額となる時期はいつからでしょうか?

2つの考え方とその理由

  離婚時に親権を持つことになった親が再婚をし,かつ養子縁組をその再婚相手と行った場合には,子どもに対する扶養義務は養親が優先します。そのため,養育費の支払い義務は多くの場合なるなるものと思われます。仮に,なくなるとしても,その時期がいつからなのかがここでの問題です。

 養子縁組をしたことが養育費の変更をもたらす理由と考えれば,養子縁組をした月からとなります。これに対し,養育費の具体的な減額の申し入れの時点(調停申し立て時)と考える考え方もあり,2つの考え方が成り立ちます。特に,養育費を支払っていたところ,養子縁組の事実を長く隠されていた場合に,大きな差につながります。

 さかのぼる期間が多い養子縁組時点となれば,既に支払っていた金額は根拠のない支払いとなり,変換してもらう必要が出てくるためです。事情変更が生じた時点と考えれば,養子縁組時点となるはずです。他方で,養育費の支払いを受けていた側にとっては不意の大きな負担になりかねないという問題もあります。もちろん,養子縁組を隠していた場合には,不意の大きな負担とは言えないのではないのかという話も出てくるところです。

 

 養子縁組の存在は面会交流の際の様子や名乗っている名前の変更などからわかるのではないかという場合もありますが,長く会っていない場合などはそうは言えないケースも出てきます。こうしたケースごとの事情もあり,養子縁組の存在を知っていたか・当然知っていただろう場合で多額の変換が必要になりかねない等の事情があれば,変更時期は具体的な減額申し入れ時になる可能性が出てきます。逆の事情があれば,養子縁組開始時になりやすくなります。そもそも,支払っていない場合には返還義務も出てこないので,ある意味で問題は小さいのかもしれません。

 いずれにしても,こうした背景もあって,養育費の支払い義務をなしとする時期をいつからにするかシビアな対立が存在するケースでは裁判所の判断は割れています。あくまでも事情に応じた判断かと思われます。

対応はどうすればいいでしょうか?

 上記の問題があることや養育費の減免がされるまで一応支払い義務があることを前提に対応をする必要があります。問題の長期化も含め,どの時点で解決を図るのがいいかはよく考えておく必要があります。

 減額を求める側としては,基本的には変更事由が生じた養子縁組の時点からとすることを基本とすべきとは思われます。ただ,返還が多くなる場合には相手の抵抗も強くなり,解決までの時間がかかること・養子縁組の存在を知っていながら支払い続けていた等の事情によっては減免時期が後になるリスクも出てきます。

 

 結局は,養子縁組がされてからの時期や気づいた経緯・支払い済みの金額や相手の抵抗などの見通しなどから,何がいいのかを考えて解決へ向かっていく必要があります。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。