よくある相談

監護者の指定が問題になる場合に,子どもの意向や兄弟姉妹不分離はどこまで考慮されるのでしょうか?

別居前の主な監護をしていたのが誰かという点がどこまで重視されるのでしょうか?

  子どもの親権や監護権が争いになる場合に,裁判所の手続きで別居前主に子どもの世話をしていたのはだれかという点は,事実関係を含めて争いになることが多いように思われます。主な面倒を見ているのはだれかという点がどこまで重視されるのかも同様に争いにはなることもありますが,一切上「主な監護」を行っていたかどうかは特に子どもの年齢が幼いほどに重視されるように思われます。

 一定程度の年齢に達した場合には,子ども自身の意向も考慮する必要が出てきますし,15歳居樹となればその意思が決定的となります。ただ,監護を受けている親の影響を受ける可能性は相応程度ありえますので,特に引き渡しを求める場合にはその可能性も考慮に入れる必要があります。もちろん,そのように考えていても,実際に子どもが現在の環境の方がいいと考えていることもありうるので,見極めも重要になってきます。一応10歳に達した程度になれば,子どもの意向の考慮という点は出てきますが,真意かどうかという問題と他の点の考慮という点は出てくるものと思われます。

 

 比較的最近の裁判例(東京高裁令和2年2月18日決定・判例タイムス1482号・96頁)では,別居前子どもの世話は妻側が行い,別居時に妻が子供を連れて家を出たが,一番上の子供のみ夫側に戻ったというケースになります。このケースで,監護者を現在それぞれ監護している側と判断しています。このケースでは,主たる世話を行っていたのはだれかという点の考慮と,特に10歳を超えている一番上の子どもについて,子どもの意向などを考慮して,判断をしています。

 ただし,上記の掲載雑誌の解説部分にも言及があり,決定文をみても,単純に家庭裁判所調査官に対する聞き取りでの意向の確認だけを重視しているわけでもないように思われます。決定文での判断過程を見ると,別居後に自発的に夫側に戻ったことやその経緯・別居後裁判所の判断が出るまでの期間や生活状況,面会交流を重ねる中でも意向が変わらなかったことが考慮されています。

 ここは,意思が真摯なものといえるのかという点を考慮するものでもありますが,別居後の生活状況の積み重ねやそこでの問題の有無の考慮しているものと思われます。したがって,意向をそのままというわけでも,他の事情も考慮しないというわけでもないものといえるでしょう。

兄弟姉妹の不分離の原則とは?

  監護権や親権が問題となっている子供に兄弟姉妹がいる場合に,一緒の環境で育つのが子供にとって好ましいということで,考慮の一要素とされています。ただ,先ほど触れた裁判例はまさに分離を認めたものです。一般に,考慮要素の一つとされていますが,多くのケースでは一緒に生活をしていてそこをわざわざ分ける必要はないのではないかという方向に考慮されることが多いものと思われます。

 

 先ほど触れた裁判例では,決定文中に,監護者決定の考慮要素の一つに過ぎないこと・低年齢の子供(決定文では姉妹と記載)を同一の監護者のもとで育てたほうがいいことは一般論としては言えるものの,個別具体的な事情の下でそれぞれの子供について考えると記載されています。このケースでは,別居後それぞれの子どもが別々の親の元で生活を重ねていたことなどの特殊性があります。子供全員を連れて別居し,その後そのままの状況が続いているケースで個別事情としてどこまで別々の環境で育った方がいいといえるのかは,そうは簡単に言えないように思われます。

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