よくある相談

最近の民法の改正で主に変わったのはどういうことですか?(令和4年の改正)

認知の無効の主張について

 親子関係を含めた法改正の流れはここ数年動きがあり,この記事を書いている令和5年4月時点で法制審議会の中間試案の話もありますが,既に先んじて法改正が令和4年になされた部分(厳密には令和4年12月)も存在します。その内容は多くにわたるので,今回は親子関係の否定にかかわる改正内容について簡単に触れておきたいと思います。

 改正は今回は触れない子どもへのしつけに関する規制はすでに施行されていますが,その他は令和6年に施行予定です。

 

  まず,認知の無効の裁判などについてです。認知は主に父側の意思を示す(もめれば家庭裁判所の手続き)ことで法律上の親子関係を作っていくものです。このことに関して,父も含めて反対の事実(実際には生物上親子関係がないこと)を示せば,その無効を主張できると規定されてきました。もめる場合には裁判所での手続きになりますが,その主張をできる方は「利害関係のある方」を抽象的な定め枯れていました。また,期間制限がなくいつまでも(相続人の範囲に影響が出ることもあるので,はるか昔のことが後でも争いになることもありえます)主張できるという点がありました。

 それでは,子ども側の地位が不安定(いわゆる嫡出子と比べて)であるということから,法改正がされました。概略は,無効の主張をできる方を,子ども・父母に限定する・無効の主張ができる期間を認知(認知がされたのを知った)時点から7年以内を原則とするというものです。この主張できる方や期間の制限は裁判に関するものとなります。また,母に関しては無効の主張が子どもの利益に明らかに反するときはできないとされました。

 

 この改正内容によることになるのは,改正内容がスタートする時点以降になされる認知についてということになるので,これまでなされた認知のついてはこれまで通りの扱いとなります。

 

嫡出否認の主張について

 嫡出という言葉は耳慣れない言葉ですが,法律上結婚している夫婦の間に生まれた子供のことを言います。特に離婚や結婚との関係で期間の定めによって「嫡出」といえるかどうか・無戸籍の問題が出るなどという点が問題になってきました。今回の法改正ではこちらの部分も改正されていますが,今回は「嫡出推定」という制度によって,法律上結婚している夫婦の間に生まれた子供が実はその夫婦(特に夫)の子どもではなかった際に定められている「嫡出否認」の制度について改正がされました。

 

 「嫡出否認」の制度とは,法律上結婚している夫婦の間に生まれたことで,その子供と推定している⇒推定を覆すための制度です。推定を覆す申し立てがないと否定されない(厳密には裁判所によって申し立てが正しいと認めてもらう必要があります)というこの申し立てと正しいと認めてもらうことが必要となります。こちらは,夫(父)が・子の出生を知ってから1年以内(自分の子どもと認めると表亜kされる言動があった場合は申し立てはできなくなります)という制限がありました。

 今回の改正では,この制限を緩和したという点に特徴があります。緩和の概要は期間を1年から3年に延ばした・申し立ては父以外に母や子ども自身もできるようになりました。スタートは男性側は子の出生を知ってからという点は変わりません。ただし,生殖補助医療を活用して生まれた子どもについてはこの制度自体を使うことができません。

 制度変更が適用されるのは,改正内容がスタート(令和6年の予定)した後に生まれる子どもとなります。言い換えると,その前に生まれた子どもは現在の制度によることになります。

 

 その他,「嫡出否認」された後であっても,それまで父が子どもに支出したお金の返還を求めることができないなどの定めも新設されています。

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