よくある相談

不貞行為の調査やその後の対応が「ストーカー行為」として規制を受けることはあるのでしょうか?

ストーカー行為の規制とは?

 配偶者を含んだ交際相手からの「ストーカー行為等」の規制(違反には警告・ペナルテイがついている禁止命令・その違反への罰則)等を目的とした「ストーカー行為等の規制等に関する法律」というものが存在します。この法律で定められた「ストーカー行為等」に該当するということになれば警告やペナルテイへとつながる可能性があります。

 この法律は,位置情報等の無断取得への規制の必要性などから令和3年に一部規制対象となる行為が増える形となっています。

 

 大まかに言えば,恋愛感情等が満たされないことへの恨みを晴らす目的で・①付きまといや待ち伏せ②面会・交際,その他義務のないことを要求する③無言電話や連絡しないよう求められたのに電話やLINE・メールなどを送る,その他の行為が禁止されます。GPSなどを使った位置情報を無断で取得する行為も規制対象に加わっています。ただし,後で触れますが,恨みを晴らす目的でなされる必要があります。

 

 継続の恐れがあれば警告が警察からされますし,態様や状況によってはペナルテイ(罰則)つきの禁止命令やペナルテイに至る可能性もあります。

規制を受ける場合とは?

 不貞行為の調査やその後の対応に関して,ストーカー行為に当たるのかどうか・違反へのペナルテイが刑事裁判で問題となった裁判例として,福岡高裁平成29年9月22日判決(高等裁判所刑速報1534号282頁)が存在します。この判断は,1審での規制行為である「見張り」等にあたらないとした判断を覆して,ストーカー行為として規制の対象となる場合はありうる(このケースでは該当)と判断をしたものです。

 

 不貞行為の事実調査で行われることがありうる,GPSを車などに取り付ける・自宅周辺での張り込み等が規制行為である「見張り」に該当すること・不貞の調査などの目的があっても,同時に恋愛感情が満たされないこと等への恨みを晴らす目的は同時に存在することはありうるという判断をしています。ストーカー行為に該当するには,法律で定められた目的を満たすことと規制行為のどれかに当てはまる必要があります。

 前者の目的を満たすかどうかはケースごとの事実関係によるものと考えられ,このケースでの一連のやり取りなどの事実関係を認定しています。そのうえで,恨みを晴らす目的などがあったとえるかを検討して結論では肯定しています。

 

 あくまでも,不貞調査の目的があっても,事情によってはストーカー行為の規制を受ける可能性があることを述べるだけですから,当然に調査をしたら該当というわけではありません。GPSの設置等の事項は「見張り」に該当するかどうかは,最高裁令和2年7月30日判決で,車の位置をGPSで把握する行為は被害を受けた方の自宅周辺ではない遠くからの把握行為である・車周辺の被害者の動きの把握ではないから,法律で定めている「住居等の周辺での見張り」にあたらないと否定したものがあります。ただし,その後法改正がされ,GPS等を使った位置情報等の無断取得も規制対象に含まれるようになりました。そのため,今後は不貞調査目的と両立しうるという恋愛などをの感情が満たされないことへの恨みを晴らす目的があったといえるだけの事情があるかが重要になってきます。

 不貞調査あその後の示談交渉などの目的があっただけでは問題はありませんが,それ以上に恨みを果たす目的といっても問題ない行動まで出ていた場合には問題となる可能性があります。

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