よくある相談

自宅の住宅ローンのオーバーローン分は他の財産と差し引き計算(通算)されるのでしょうか?

財産ごとにプラスマイナスを別個に考えるか・考えないかで何が違うのでしょうか?

 財産分与は,原則は夫婦が結婚中に築いた財産を清算するという要素を持ちます。マイナス(負債)やプラス(財産)は個別の財産で生じます。ただし,住宅ローンや車のローンのように特定の財産を購入する際にその資金を借り入れで賄うために,紐づいているように見える財産と負債が存在します。

 個別にプラスとマイナスを考えることになると,本来は全体を見てプラスなのか・マイナスなのかという話にはつながりません。これに対し,今触れた紐づいたもののみ(自宅と住宅ローン・車とそのローン)プラスとマイナスを考えマイナスが大きい場合に考慮に入れないという話は,他はプラスとマイナスを清算するという話につながります。一部だけ他で出てきたマイナスは考慮しない(通常はプラスがある部分のみ清算する)という話に行き着きます。

 

 この話と住宅ローンが自宅価値を上回る部分を考慮するかどうかでの違いは,ローンマイナス分を考慮することで財産分与の金額が減る(場合によってはマイナスが全体として大きく財産分与という話自体がなくなる)か財産分与をプラス部分の合計で行うかどうかという点で違いが出ます。金額面で大きな開きが出かねないというところが大きな違いになっていきます。

実際上,通算されるケースが大半と思われます

 自宅は大きな買い物であり長期にわたってローンを組んでいる場合,ローンは返済分しか減らないのに対し,家の価値は変動する(新築の場合には下がる可能性も大いにありえます)ため,この部分のマイナスが全体として大きな影響が出てくる場合もあります。そのため,全体で通算されるかどうかケースによっては大きな意味を持つ場合もありえます。

 

 個別に考える場合には,自宅部分のマイナスは他の財産から賄われない等の理屈を考えることになるでしょうけれども,筆者が知る限りでは個別に考えるケースというのは少数ではないかと思われます。これは,財産分与では財産と負債を通算して清算するものがあるかどうかを考えるのが一般的であるため,自宅と住宅ローン等を例外と考えるだけの理由はないためです。また,住宅ローンはかなり長期間続く負債であるという点があり,ここをどう考えるのかという問題はありますが,長期続く負担を清算で考慮しない(そのまま清算の計算に算入しない)という理由はない(考慮しないと公平に反する)というところも考えられるところです。もちろん,長期続く負担だから特別に考慮しない(別個に特に考える)のだという考えもありうるところですが,ここは個別のケースにおける仮に裁判官判断に至る場合の判断という面が出てくるかもしれません。

 ただ,通常は清算されるものと思われます。

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