よくある相談

子どもが大学に進学した場合の養育費の負担はするものか・するとしていくらになるのでしょうか?

進学を容認していたといえる事情があるかが一つのポイントです

 別居後あるいは離婚後,子どもとの交流がない等のことがあり,進学希望がどうなのかわからないということもありえます。また,子どもの年齢などによっては同居時にある程度進学を前提とした事情があり,別居後・離婚後に進学をした場合にその費用の負担を求められることがあります。離婚時に負担についての取り決めがあれば,その内容にもよりますが,負担の割合や金額を取り決めていればその負担をする場合は出てきます。

 

 これに対し,取り決めがない場合には進学を容認していた・負担の意思を示す言動があったのかがポイントになります。いざ請求をされて進学を容認していないという話をしても,その際の話が重視されず(ここを重視するといざという時にすべて拒否できることになります),別居までの事情から容認などがあるといえるかが重要になります。

 通塾や進学先(進学校への進学など)・その他親双方の経歴などから考えることになります。もちろん,子どもが幼いころに別居し時間が相当経過してという話になると,標準算定方式が前提としている公立中学高校以外の進学を想定していたとは言いにくくなります。

学費を追加負担する場合の金額はどうなるのでしょうか?

 特に大学進学を子どもがした場合には,その学費が大きいこともあり,どこまで負担義務を負うのかが問題になります。これは,先ほど触れたそもそも負担義務を負うのかという話とは別に,仮に負担義務を負う場合にどこまで負うのかという話になります。

 

 実際に進学にかかった費用や通学費用などを親の収入(厳密には基礎収入と呼ばれるもの)で案分して負担をさせるという方法・国立大学の標準的な学費などから標準算定方式で考慮されている標準学習費用を差し引き,負担すべき割合をかけるなどの方法がありえます。実際にはケースごと事情の考慮もあるので,上でとりあげた2つの方法以外も考えられるところです。半分ずつ負担するというものなどです。上の方法が1審と2審で割れたケースとして,大阪高裁平成27年4月22日決定・判例タイムス1424号126頁があります。

 このケースではうえで上げた進学を容認していたといえる事情の有無も争点となり結論として祖事情を認めています。追加負担(標準算定方式で決まる金額への追加分)をどうするのかという点で,1審では双方の収入に応じて実際の進学先(私立大学)の学費を案分するという判断を示しています。これに対し,2審では,進学に関して国立大学を目指していたという事情や別居前の家計状況などから,離婚・別居なくても奨学金やアルバイトが必要である点を考慮しています。これらの事情を踏まえて,国立大学の標準学費などから標準算定方式で公立高校の標準学習費を差し引いて,負担割合を決めてかけています。このケースでは,どのみち学費を親の収入以外で賄う部分が出ている点が考慮されています。

 

 この判断が一般化できるわけではありませんが(国立大学進学を視野に入れいていたこと・どのみち学費を親の収入以外で賄う必要があったといえるだけの事情があった等の事情が考慮されています),ケースごとの事情に応じた負担の方法があるということは,話し合い解決を図るうえでも参考になるものと思われます。

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