子どもの監護者の指定や離婚調停の段階で家庭裁判所調査官の調査が行われている場合に,離婚裁判での調査の意味合いなどはどういうものなのでしょうか?
離婚裁判段階での前に行われた調査の意味
子どもの監護権や親権が問題になる場合,離婚調停などに先立って子どもの監護者の指定等に関する審判や調停が行われるケース・そうではなくて離婚調停で親権が大きく争いになるケースがありえます。前者の場合には通常,後者であっても大きく問題となる場合には,家庭裁判所調査官が立会を行い,調査活動を行うことがありえます。
双方から出した言い分や裏付け資料・裁判所が要求する監護状況や実績がわかる資料等を踏まえ,聞き取りなどによって調査活動は行われることが多いと思われます。こうして出てきた結果には家庭裁判所調査官の調査に基づく意見も含まれます。
ここでの調査結果はもちろん全てではなく必ずしも裁判官の判断(子どもの監護者の審判等)は結論通りにはなりませんが,実際には大半が裁判官の判断に大きく影響します。というか,この結果に基づき審判の手続きや調停の手続きが進められるものと思われます。そのため,影響は大きなものであり,後で触れるように離婚裁判だから仕切り直しになるわけではない点は頭に入れておく必要があります。
書かれている内容(そこに納得がいかないものが含まれるにしても)から今後の見通しや争点がどうかを含めて対応を決めていく必要があります。
離婚裁判で再度調査が行われる場合とは?
先ほども触れましたように,子どもの監護者の指定に関する審判や離婚調停で,子どもの監護等に関して家庭裁判所調査官の調査結果が存在する場合に,その意味合いは大きなものとなります。離婚裁判では必ずしも争点は親権者がどちらが鳴るのかだけには限りませんが,この争点については家庭裁判所調査官の調査結果に基づき審理が進むのが基本です。
前に行われた調査から時間がかなり経過した・子どもの生活環境が大きく変わった(監護補助者や生活場所等の大きな変更など)場合には,再度調査される可能性はあります。これは,調査で前提としていた事項(結論につながる監護環境や状況)の大きな変化があるため,再度調査をする必要性が大きいためです。
これに対して,前の段階での調査結果に納得がいかないから再度やり直してほしいといったとしても基本は調査されません。これは裁判所の視点から見て調査の必要性がないと考えられるからという理由によるものですが,単に気に入らないからやり直しということでいちいちやり直しをしていれば何回やり直しても聞かないという面もあります。仮に再度の調査を求める場合には,その必要性が認められるだけの理由を示せるか(求める場合には,その理由や必要性を示すことは必須です)をよく考えて見通しをもっておくことは重要です。
離婚調停を不調にして裁判を考える場合,仮に問題が親権であるとすると,不利な調査けっかがそう簡単に覆る(やり直し)わけではないことを踏まえて,果たして裁判に進むかを考えるのが必要になることもあります。他の争いある点を踏まえてのことになりますが,一つのポイントにはなりえます。