離婚後に交際する女性ができた場合に,養育費の減額をしても認められるのでしょうか?
そもそも減額事情になるのでしょうか?
離婚後に交際する女性ができた場合でも離婚時に取り決めた養育費は減額できないのが原則です。再婚をすることなく一緒に生活をする場合であっても,生活費の負担義務を負う内縁と呼べる存在といえるかは簡単ではありません。内縁はあくまでも法律上の評価であるために,事実関係(生活実態その他など)からそのように言えるか問題になります。
内縁の相手がいるとした場合に,その方が仕事をしているのか等によっても養育費を減額するだけの事情といえるかは変わってきます。再婚をした場合と異なり,内縁かどうかははっきりしない点があるため(特に離婚後は),再婚の場合よりもかなりハードルは高くなるものと思われます。基本,内縁の相手方には稼働する能力があると思われますので,この点もハードルにはなりえます。
また,離婚の際に別の女性との交際が存在する場合には,そこから変更までのスパンが短いこともありえます。この場合は離婚時に既にほかの女性との交際が存在したわけですから,内縁といえる関係といえるかはともかく,事情変更(減額を必要とする離婚後の事情変更)とは言いにくくなるでしょう。同じことは再婚をした場合についても問題になることはありえます。離婚してから時間がかなり経過した場合には上の話のみが問題にはなります。
子どもが生まれた場合は?
子どもが生まれた場合の,再婚をしていない場合にはその子どもとの関係では法律上の親子関係は基本はありません。認知をした場合には話が変わってきますが,ここで初めて減額事情といえるだけの扶養を必要とする親族が植えたといえることになります。この場合,交際相手の収入なども考慮対象にはなりますので,認知をしたから当然に減額になるというわけではありません。交際相手の収入がかなりある場合には,減額にならないことも十分ありえます。ご自身の収入が離婚時よりも増えたなどの場合も同様です。
ちなみに,離婚の前に交際相手がいて離婚後あまり時間がたたずに子供が生まれて認知した場合に減額が認められるかは難しい問題が出てくることもありえます。離婚時に子どもが生まれることがわかっていた場合(妊娠が判明していた場合)には特に事情の変更といえるかどうかが問題となることもあるためです。離婚前の生活費(婚姻費用)について取り決め後に交際相手との間に子どもが生まれ,そのこと等を理由とした婚姻費用の減額請求が認められるのか等が問題となったケースで,裁判所(名古屋高裁平成28年2月19日決定・判例タイムス1427号116頁)では,減額を認める事情と判断しています。子どもは等しく扶養を受ける権利を持っていること等が理由として挙げられています。
離婚を実現するための条件面などは重要な点ですが,新たに子どもが生まれることが想定できる局面ではどういう態度で臨むかを考えておく必要があります。