離婚調停を電話やウェブの手続きで進めることはできるのでしょうか?
電話で進める場合
ここ数年IT化ということが様々な分野で進められていますが,裁判や調停の手続きについても令和5年10月現在進行形で進められています。今回触れる話も改正された法律の施行によって数年後には変わっていく話ではありますが,あくまでも現状はこうであるということで触れていきます。特に遠方の裁判所での調停の場合には出頭するのが大変ですし,弁護士に依頼するにしても日当や交通費の心配が出てくるかもしれません。
特に新型コロナウイルス感染症の影響もあって直接赴かない形での調停(裁判は今回は触れませんが,地方裁判所ではウェブでの進行が双方に弁護士が代理人で着いている場合導入が進んでいます)は増えているように思われます。電話での調停とは,これまで裁判所に出頭してお互いに顔を見ながら,多くは交互に調停委員と話を進めていたという形が,交互という点は変わりませんが,電話で話を進めていく形になります。お互いの顔が見えないという点がデメリットに挙げられていますが,ここをデメリットと感じるか電話で進められる点をメリットと感じるかは人によります。本人以外が手続きを進めることがないように電話口にいるのが誰なのかという確認自体は行われています。
ただ,今の時点では離婚・離縁の調停を決着させる(解決の場面)では出廷が求められていますので,電話では解決ができません。こちらは法改正で出廷を不要とする方向になりますので,ここ数年で変わっていく形にはなります。同様のことは離婚裁判の場合に話し合い決着(和解の場合)についても現状出頭が必要であったものが電話や後で触れるウェブ会議の場合に裁判所への出廷は不要になります。
ちなみに,調停は話がつかない場合に審判手続きへと移っているものもありますが,こちらも基本は電話で進めることができます。
気になるのは実際に出廷と電話でどこまで変わるのかという話ですが,あくまで個人的な感想としてはそうは変わらないように思われます。ただ,ご本人出廷の場合には配慮をしていても相手方と会う可能性は残っていた点はなくなるでしょう。単に話すだけでは理解しているのかどうかわからないという点も顔が見えないことのデメリットといわれることがありますが,顔や表情を見ても理解していない場合には理解していないので,きちんと確認しながら進めていくことが重要のような印象があります。
ウェブ会議は?
離婚調停についても,双方に代理人弁護士がついている場合には通常の民事裁判と同じくウェブでの手続きを使うことができるようになっています。特に電話を使った場合との違いはパソコンなどの画面を通じてお互いの顔を見る形のように思われます。家事審判手続きや離婚裁判でもウェブを使った運用が導入されてきていますが,電話との違いは基本は今述べた話かと思われます。
先ほどの電話の場合もそうですが,調停では録音や録画は禁止事項とされており,ご本人と代理人弁護士以外の立ち合いはないことが前提とされています。ウェブ会議で画面を通してということになると特に後者は確認がしやすくなるという面があります。
進行については調停委員と話をする場面でウェブで裁判所再度とやり取りをするイメージで,相手方が話している時間は待ち時間である・交互に話をしていくという点は変わりはありません。これまで裁判所の待合室で待っていた時間を弁護士事務所で過ごすイメージになります。いずれにしても,相当な待ち時間が調停の際にはあるケースが多いという話になるでしょう。
利便性を確保しながら進めていくという意味で,ここ数年で調停などの進行は変わっていくものと思われます。信仰の中身自体は運営制度の一部変更なのでこれだけで変わることはないでしょう。