よくある相談

不倫などをした有責配偶者からの婚姻費用の請求はどこまで認められるものなのでしょうか?

有責配偶者からの婚姻費用の請求は認められないといわれていますが・・・

 妻側が不倫その他の理由により家を出てその後離婚に関するやり取りをする中で,生活費(婚姻費用)の請求をしてくる場合はありえます。婚姻費用の支払い義務は法律上の扶養義務に基づくものなので,離婚か同居再開(同居しての家庭内別居の場合にどう考えるかは難しい問題があります)まで支払い義務を負うのが基本です。ただし,信義に反するという理由で「有責性」を負う側からの請求は制限されています。

 ただし,妻が子どもを連れて家を出て監護は争わない場合(裁判所の手続きで争っていても,その判断あその他決着がつくまでを含みます)には,それでも子供の養育費相当額分は負担義務を負います。これは,「有責性」があるかどうかは夫婦の問題で子どもには関係ないためです。同じ理由から,その後離婚をした後の養育費についても同様に離婚の理由が考慮されるわけではありません。もちろん,協議により調整することは可能ですが,理屈上当然に考慮されるわけではありません。

 最高裁の判断で,妻側が別の男性とも受けた子どもについて,離婚後の監護費用を請求することを制限したものがありますが(最高裁平成23年3月18日判決),財産分与や離婚前の婚姻費用などを考慮して権利の乱用に当たる請求を理由にしてのものになります。いずれにしても,実子である子どもについて,この判断が及ぶものではありません。

実際上,どこまで認められない・認められるのでしょうか?

 不貞行為がわかりやすいように思いますが,実際上「有責性」が争われていても,証拠などがないと認められるわけではありません。単に憶測や弱い根拠に基づいて「有責性」があるから,婚姻費用の支払い義務がないと主張しても,家庭裁判所での手続きでは認められない可能性は宅なります。そのため,実際に「有責性」ありといえるのかどうかの吟味は重要です。

 また,破綻の経緯等によっては減額はされるものの,一部婚姻費用(養育費分を超えるもの)の支払いを命じられることもありえます。不貞行為の態様(発覚の経緯や不貞の内容)や別居までの経緯等の事実関係がどうであったのか等はケースによっては大きく問題になります。裁判所の手続きで審理長期化もありうる中でどこまで踏み込んで審理を行うのかという問題もありますが,事実関係を言い分と証拠で根拠づけ,その結果別居や破綻の原因をどうとらえられるのかがここでのポイントになります。

 仮に,主な破綻の原因とまでは言えないということになると,一部減額になるという場合やそもそも破綻していたといえるケースでは減額にならないこともありえます。ただ,それまで同居しておいて不貞が発覚し別居という場合に,不貞の事実に争いがないケースで減額にならないことはそこまでないように思われます。

 不貞行為の存在や内容・別居までの経緯等事実関係や根拠となる証拠があるのか・その中身が問題になることもあります。単純に不倫をしていたんではないかという思いだけで,婚姻費用の請求を必ず断れるというわけではない点は頭に入れておいた方がいいでしょう。

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