よくある相談

長らく音信不通となっている配偶者との離婚を希望する場合の注意点

話をどう進めていけばいいでしょうか?

 相手と長く音信不通の場合には,そもそも離婚という手続きをとるかどうかという問題があります。ただ,離婚を選ぶ場合には相手と話し合いの仕様がないケースが通常でしょうから,協議離婚には向かない面があります。家庭裁判所への申立てをする場合にも本来は裁判が一番向くのかもしれませんが,一応原則は離婚調停を申し立てる必要があります。裁判所の手続きを使う場合には特に離婚調停は原則として相手方の住所地になりますので,もしも先行して別居している場合には確認が必要になります。ただ,行方不明であることを理由として例外的に離婚裁判を起こすことは可能とされていますので,離婚裁判を考えていく場合には行方不明であること(住所の調査や住所地での生活をしていることが確認できない等の事情)をきちんと確認しておく必要があります。
 
 離婚裁判の場合には,訴状や判決書は「送達」という法律で定められた手続きが取られるという必要があります。争う機会の保証という意味合いもあり,受け取ったかそれと同様と法律上定められた状況になっていないといけないという話です。行方不明の場合には受け取ることはないため,「公示送達」という簡単に言えば,裁判所の敷地に提訴や判決が出たことを掲示してもらう手続きによって「送達」されたのと同様に扱う制度を活用する必要があります。
 この制度は簡単に使えるわけではなく,法律で定められたハードルをクリアする必要があります。住所や居所・勤務場所を知ることができない場合・他の方法で送達があったとは言えない場合等に活用できます。行方不明の場合には該当しますが,住民票など住所地の調査結果やその場所での生活実態が確認できないことを調査した報告書(探偵業者などこの調査を行う業者が存在しますので,そこを活用することもありえます)・行方不明の経緯や最後の音信があったのはいつごろかの報告等が必要になります。これらを踏まえて,ハードルをクリアしているといえるかが判断されます。

 長く行方不明になっている場合には,裁判所への出頭は見込まれず反論が出てくることもおそらくはないものと思われます(実際には受け取りなどが期待できる場合に偽った場合には,犯罪に該当する・相手から賠償請求を受けるリスクが存在します)。この場合には,結局は離婚を認める判決が出されることになり,先ほどの「送達」をクリアしていれば判決は確定して離婚へと至ることができます。

失踪宣告の申立てをする場合との違いは?

 離婚をすると扶養義務はなくなる一方相続を招来することや言に相続が生じなくなります。これに対し,例えば,行方不明になって7年間生死不明の場合には失踪宣告の申立てをするという方法もあります。失踪宣告がなされた場合には(前提のハードルをクリアすることが必要で,離婚判決が認められるケースとは異なる場合もありえます),婚姻関係が終了し・相続が始まります。

 ただし,反対の事実(つまり,相手配偶者の生存が判明した場合)が明らかになった場合には,失踪宣告の取り消しの申立てを行うことが可能です。この場合には失踪宣告の効果は一定の例外を除き覆されます。そのため,離婚裁判で判決を得ていた場合との違いとして,婚姻関係修了の効果が覆される(離婚判決の場合には一定の再審事由という高いハードルに該当しない限り覆すのは難しい)点があります。ハードルのクリア度合いや目指すもの等を踏まえてどうするかは決めておく必要があります。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。