再就職が容易ではないものの退職したケースで,収入は退職前の水準で考えるのでしょうか?
自らの都合でやめた場合には,その後の収入をどう考えるのでしょうか?
会社を退職する理由には様々あるところで,収入が失業給付のみになる・しばらくして無収入になる・転職をする等その後もケースにより異なります。ただ,定期的な収入があった方にとってはその後の収入が途絶えるか大きな変更があるところですので,婚姻費用や養育費を計算するうえでの「収入」をいくらで考えるのかは重要な話です。
他のコラムでも触れていますが,特に自発的な意思でやめた場合には,以前と同じ収入が得られたはずなので意図的に収入を下げているのではないかという疑念が出てくるところです。そうした点もあり,過去の収入あるいは賃金統計の数字をもって収入があったものと扱うケースは家庭裁判所の判断などでは出てくる事例も多いように思われます。失業している期間でも失業給付の金額(この場合には働いていることでの経費が出ないので,同じ収入でも婚姻費用や養育費が大きくなることがありえます)で考えることもあります。
これに対して,自発的な退職といっても一族経営の会社を離婚問題が出たことでやめざるを得ないケースや健康問題,その他会社都合によりやめるケースでは,同様に考えていいのかという問題があります。。
年齢やその他の事情から再就職が難しいケースでは?
特に愛色がやむを得ない事情などであって,年齢や健康状態・その他経歴などから当面低い収入や再就職自体が困難な場合には,以前の収入と同じ金額になるとは考えにくい面があります。その場合に賃金統計での平均値になる可能性もそうは高くないことが考えらっれるので,こうしたケースではパート程度の平均収入と関考える・その他一定の合理的な基準で収入金額を考えるということもありえます。
この場合に当面は就職や給料が大きく下がることが予測されるケースは,単に自ら無計画に退職しただけで該当するとは限りません。この場合には実際に収入の確保は難しいかもしれないものの,一定程度の収入があるものとして扱われる(潜在的稼働能力と呼ばれるものです)ことでお金の支払いに困ることがありえます。そのため,見通しには注意が必要になります。
これに対して,いわゆる中高年で経歴・病気その他の状況から再就職ができる見通しがつかない場合には,少なくとも当面はかなり低い収入でもやむを得ない面があります。その場合にそれでは,いくらをいつまでと考えるかは難しい問題です。一定の時間が経過すると収入が多くなると考えても,その時間をどう考えるのか・現在の収入をいくらと想定するのかという点は必ずしもはっきりはしません。
健康様態その他を考えれば収入がゼロと考える,健康保険の傷病手当金を当面の収入と考えるといったこともありえます。ケースごとの事情が出てくる面もありますので,当然に賃金統計の平均などとはならないため,反論ができるのか・状況を踏まえてどう話を進めていくのかを考えておく必要があるでしょう。