よくある相談

養育費の算定にあたって将来かかるであろう医療費(歯科矯正費など)はどこまで考慮されますか。

養育費の中に含まれる費用は?

 養育費とは、未成熟の子どもが社会人として独立して自分で生活できるまでに必要な費用のことをいいます。実は、養育費について法文上明確な定義が現在はないのですが、婚姻期間中は婚姻費用分担・夫婦の間の扶助義務を根拠に、離婚後は監護費用に含まれるとされています。

 養育費には、未成熟のお子様の衣食住にかかる費用、医療費など生きていく上で必要といえる費用、教育にあたって必要な費用が含まれます。教育にかかる費用については、学校などの授業料、教材費、クラブ活動費、進学のための塾や予備校の費用、家庭教師にかかる費用、受験料などを含めて考えることになります。これら教育費については、別のコラムで支払いの終期も含めて取り上げています。

 今回は養育費で考慮されている範囲を超えて医療費がかかる場合、将来治療が必要とされている治療に必要な費用、特に保険適用がない矯正歯科の費用についてどのように考えていけばよいか触れていきます。

将来かかる医療費(矯正歯科の費用)については負担しないといけなくなるでしょうか?

 ここ最近は、まだお子様の歯が永久歯で揃わないうちに、矯正治療を受けるケースが増えてきたように思います。この場合は治療の過程で虫歯などがあれば保険適用になりますが、そうでない純粋な矯正治療のときは実費になり、数十万円単位でかかるのが一般的です。
 既に歯科矯正の治療を受けている場合であれば、今分かっている治療費の概算を通院するクリニック・病院に示してもらい、具体的な負担の仕方について調停や、話がつかなければ審判で定めてもらうのが一つです。
 今既に治療中であれば、裏付けの資料さえ出してもらえば払うということで合意に至るケースもみられます。
 問題はまだ治療に具体的に入っておらず、これから治療をすることになるという場合です。こういったときは進学に要する費用が具体的に明らかになったときに協議をする、という条項を入れる場合と同様、特別な費用としてそのときどきで決めていくというのも一つの方法です。その場合は協議する内容(金額負担の仕方について、そのときの収入割合に応じて決めるのを前提とするのか、それとは関係なく半々で負担するのか、それとも負担割合も含めての協議とするのか)を決めておかないと、実際に協議が必要になったときに話がまとまらないということも起こり得ます。
 支払いを求められる側からすると、そもそも本当に矯正治療が必要なのかわからないうちに支払いを前提に取り決めされることに抵抗を感じるということが多いと思います。
 そのため、現時点で分かる範囲で今の治療状況と、どの程度治療が必要なのか、まず最低限いくらかかるのか、以後はどのくらいかかる見込みかが分かる診断書・意見書などの提示をしてもらった上で、負担の仕方や支払い方法などを協議し、盛り込めそうであれば条項に入れておくというのも一つです。
 将来かかる治療費であるにしても、ほぼ間違いなくかかるような場合であれば、あとから協議をするのも手間である・再度調停などで対応しないといけないのも面倒ということもあります。そのため、分かる範囲で決めておくことで、その後の対応の負担を減らすというのもありうると思いますので、診断書・意見書等の記載内容をみての対応になってくると思います。

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