別居期間が長くなっても離婚請求が認められない場合とは?
話し合いをしないなどあまりに不誠実な態度をとっている場合
離婚をするかどうかで争いが出る場合には,仮に裁判になった場合に離婚原因があるかどうかの見通しは重要です。そこでどういった対応をとるかどうかを決めるとともに,仮に離婚原因として強いものがない場合(離婚意思は除きます)にはお金の面での対応を考える(離婚を求める側)必要はあります。性格の不一致や家庭内別居は裏付けが薄い・はっきりしないこともあるということでケースによってはハードルが出てきます。
別居期間が長くなれば,元々の離婚原因が弱くても修復が困難であるとされやすいものの,一般的な離婚理由であるとされる「婚姻を継続しがたい重大な事由」は抽象的な言葉でもあり,これが破綻という点を考慮するのか有責という点を考量するのかという問題があったこともあって,別居の長期化が即離婚につながらないこともありえます。裁判例でも,東京高裁平成30年12月5日判決(LEXDB65563524)では,詳しい事実認定を行ったうえで判断を示しています。
判決の認定に従えば,このケースは7年間の別居(同居は18年近く)があった場合で1審が離婚判決を命じたものを覆した(離婚を認めなかった)ケースになります。事実経過はかなり特殊なもののように思われますが,簡単に紹介しておきます。以下,判決で認定された事実を前提に(事実経過も争いはあるようです)記載します。
特に夫婦関係に問題がなかったケースで,突然離婚を切り出し話し合いなどを拒絶し7年間別居した(認定では弁護士から別居期間が長ければ離婚に至るというアドバイスに基づき,接触を断ち・親族の背3羽をしてもらう・婚姻費用を支払う等の対応をしていた)という認定の元で判断されています。このケースではかなり大雑把なまとめですが,離婚を回避する等の話し合いをする・経済面などでの苦境に陥らないようにするなどことの重要性を述べたのちに,先ほどの態度から別居が長いから直ちに「婚姻関係を修復しがたい重大な事由」は存在しないと述べています。
そのほか,特に主張のなかった有責配偶者に関する最高裁判例への言及もしていますが,ここは省略します。いずれにしても,常に破綻=離婚というわけではないので,意図的に話し合いに応じないその他の対応を取り続ける行動(別居が長引けば当然に離婚という考え)は得策にはならないことを示しているように思われます。見通しをつけることは重要ですが,あまりに露骨な方法はマイナスになる可能性があります。
有責配偶者の場合
不貞行為をした場殿「有責配偶者」の場合には,最高裁の判断(別のコラムで照会しています)があり,単に別居が長引いたから当然に離婚にはならない(審議誠実の原則によるハードルが存在する)という問題があります。同居期間と比べての別居期間が長くなることやその間連絡をお互いに取っていないなど婚姻生活が関z年に形骸化するという点はポイントとなる事情の一つにはなるでしょうけれども,相手方を苦境に追い込まないようにする(経済的な支えを等を行う)点も重要なポイントです。
審議誠実の原則によるハードルが存在し,考慮要素は必ずしも別居期間の長さだけで決まるわけではありません。単に条件面だけの争いなのか,離婚をすることにおよそ反対なのかによって対応は分かれてきますが,前者の場合には,解決までの期間をどう考えるか・座愛さんや収入等を考慮してお金の支払いで解決を図るのか等は考えてみる必要があります。後者の場合には単に申し出たからといって解決につながるかは分かりません(ここでの解決は離婚での解決を想定しています)が,別居までの経緯やその後の関係や経済面での支え等を考慮してどのタイミングで裁判にまで至るのか・その際にお金の支払いに関してどう対応をするのか等は決める必要はあります。