よくある相談

養育費の未払いがあるということで,請求の連絡が来た際の注意点

差押えのリスクを理解する

 一度養育費の取り決めをした以上は,基本は支払うべきとは思いますが,何かしらの事情で支払いがないままに時間が経過することがありえます。その場合に,弁護士を通じての養育費の請求の連絡が来ることや場合によっては給与などが差し押さえられたという連絡が来ることがあります。

 差押えが来た場合には,その取り下げをしたてもらうように交渉をしてみることが対応として考えられます。養育費の差押えは,一度なされた場合には過去の未払い分を支払っても失効しない(つまり,将来分も差押えになります)点が要注意です。勤務先との関係で差押え継続が続くことに不都合を感じるならば,この点は重視すべき点でしょう。差押え禁止部分が特に給与について,養育費の場合には手取りの1/2までとなっている(これは1/2は差押え可能という意味にもあります)も注意すべき点です。

 近年は差押え(民事執行と呼ばれるもの)に関する法改正がなされ,特に養育費の未払いに関して,財産の調査のハードルが下げられています(とはいえ,費用その他の手間はかかります)。これらの調査(勤務先に関する情報や預金など)により,財産や勤務先に関する情報を取得される可能性もある点は頭に入れておく必要があります。別のコラムでも触れていますが,財産開示手続き(裁判所に事前に財産のリストを出し,実際に出廷して財産等に関する質問を受ける。)をなされた場合には,不出頭や嘘の財産などの情報を出した場合には刑事罰が科される可能性もあります。

 そのため,弁護士からの通知であっても,その先にこれらの手続きやそれに伴うリスクもあるので,無視は危険性を伴うことがありえます。

時効になる部分があるかどうかと支払い計画を考える

 未払いとなっている養育費については,支払いの時期の到来した(例えば,〇年〇月以降毎月〇日までに○○円支払う,という場合には,毎月の支払い日時)日にち以降時効に必要な期間が経過します。そのため,未払いの期間が経過している場合には,時効に必要な期間が経過している部分が出ることになります。

 ただし,法令で決まった事情(差押えや裁判上の請求等)があった場合には,この必要な期間はリセット(つまり,全く期間が経過しておらず時効にはならない)になる点は注意が必要です。請求の連絡だけでは,その後6か月以内に裁判がないとこの事情には当たりませんが,特に差押えがある場合がここでは問題になりえます。取り決めがなされている場合で公正証書や離婚調停などの場合には差押えがなされるかが大きな問題です。単なる取り決めの場合には裁判を起こされる可能性もありえます。また,仮に養育費の取り決めがない場合にはその後家庭裁判所の手続きなどで金額を取り決める場合の,支払いのスタート時点としては請求時がいつかは意味を持ちます。

 いずれにしても,時効の話をするにしても全額時効になるとは限りません。特に現在もしばらく支払いが続く場合には,上で触れた差押えのリスクがありますので,支払い義務が残る金額についての支払いをどうしていくのかを考える必要もあります。
 この場合には結局時効にならない金額がどの程度ありそうなのか(未払い総額はいくらか)・今後の支払いはいつまで続くのか・毎月の支払いはどこまでできるのか,を考える必要があります。差押えが可能な範囲がどこまでなのかという話もありますが,支払いが確実といえるだけの事情も示すことで話し合いでの解決を目指すのが一つの方向性かと思われます。
 時効の話をする時点で未払いがあり,差押えが可能である点は一つの考慮ポイントかと思います。

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