男性でも法テラスの仕組を活用した相談を行うことはできるのでしょうか?
要件を満たしていれば,利用はできます
法テラス(日本司法支援センター)の仕組みを活用した弁護士への相談(個人からの相談に限ります)は,離婚問題である場合には,法テラスが定める利用の要件を満たす限りは,男性でも女性でも活用は可能です。利用用件の詳細は,法テラスのサイトなどをご覧いただきたいのですが,誤解を恐れず言えば,収入や財産などいわゆる資力に乏しい方にも弁護士をご利用いただける仕組の提供ということで,要件が定められています。主なものは収入と財産(資力と呼ばれるもの)です。
ごく簡単に言えば,ご住所地にもよりますが,定められている基準となる収入(家賃などの考慮もありえます)と財産額の上限の範囲内での収入と資産額の範囲内しか資力がない場合に活用が可能です。他に,勝訴の見込みがないとは言えない場合,等の要件がありますが,ここではおいておきます。ただ,見込みにあまりに乏しい場合には活用が難しいという意味合いはあります。いずれにしても,性別で要件が異なるというわけではありませんので,男性も要件を満たす限りは可能です。
そして,要件の審査は特にご依頼に先立つご相談の段階では,そこまで厳しくはされませんが,同じ案件については,法テラスの民事法律扶助の制度で相談をする場合には,基本3回までしか無料相談が使えないというルールが存在します。例えば,離婚問題の相談については3人の弁護士に1回ずつ相談を行う・その相談には法テラスの民事法律扶助を活用した相談(相談費用を肩代わりしてもらうという意味で無料相談)を行った場合を考えてみます。この場合であっても合計は3回ですので,仮に4回目同じ弁護士に2回目の相談をしても,無料相談の枠を使い切ってしまうということになります。
相談をした上でご依頼をする場合には,法テラスによる要件を満たしているかどうかの審査を行うことになります。もちろん,依頼の際には援助を使うという申込み(厳密には,弁護士との間では委任契約,弁護士への費用の立替えの契約をするという法テラスを含めた三者での契約)をします。ここで必要書類の取り付けもいただいたうえでの審査になり,援助開始の判断を法テラス側が行って,はじめて三者間での契約を行うことになります。
基本は相談⇒申込み⇒審査⇒援助開始⇒契約,の流れとなります。そのため,基本は弁護士の業務着手は契約時点になりますので,取り掛かりは割と時間がかかる(急ぎの場合には支障が出る可能性はある)という問題があります。援助のメリットも含めてどうするかを考えることにはなるでしょう。
相談先の弁護士が法テラスを活用した制度の契約をしていない場合には使えません
法テラスが提供する民事法律扶助を利用したご相談は法テラスの地方事務所での相談以外にも,民事法律扶助の契約をしている弁護士の事務所でのご相談であれば利用は可能です。言い換えると,どの法律事務所でも利用できるとは限りませんので,ご利用をお考え(要件を満たす必要はあります)の場合には確認の必要があります。
したがって,諸般の事情で特定の弁護士にご依頼やご相談をお考えの場合に,その方が民事法律扶助の契約をしていない場合には,活用はできないことになります。ここをデメリットと考えるかどうかは様々な事情から考える必要はあります。民事法律扶助の場合には,約款で弁護士の費用が定型化されており,その費用との兼ね合いや分割払いの関係等やその方への信用その他も含めて考えることになるかと思われます。
民事法律扶助を活用した相談については,法律事務所などに赴く以外の方法もありますが,そこにはハードル(要件)があるので,ご希望の場合にはお尋ねをして確認をしてみるのも一つの方法です。