よくある相談

婚姻費用の金額について計算するにあたって子どもが成年に達した場合・再婚した場合など特殊な事情があるときにはどのように考えると良いでしょうか。

子どもが成年になった場合

 子どもが途中で18歳になり成人となったときに就職していると、婚姻費用の計算にあたって考慮しないことになりますが、専門学校に在学している・婚姻費用を支払う側も在学進学を了承していた場合、あるいは何等かの障がいがあり就労していない子の場合は成年であっても未成熟子と同じに扱って算定するようになります。
 ただし、子がアルバイトをしている・あるいは特に進学しているわけでも就労できないわけでもないという場合には、アルバイトないしパート労働者としての収入が得られるであろうことを前提に賃金相当額を引いて修正すべきとするものもあるようで、このあたりは裁判官が判断する審判になると判断が分かれることもあるでしょう。

子どもと同居している状態が変わったとき

 子どもが両親の間を行き来しているため、一方のもとでとどまって養育監護をされていないというケースがあります。こういった場合は養育監護の状況に応じて婚姻費用を取り決めるのが妥当なため、時期で区切ることができるのであれば時期に応じて分担割合を計算して、時期で区分けできないのであれば監護実態を踏まえた分担額を決めるようになります。実際のところは時期で区分けができない場合には分担額が定めにくいと思いますが、週の半分ずつ子どもを双方でみている場合にはその実態に即した金額を定めることになるでしょう。過去にも平日は婚姻費用の支払い権利者が子の面倒をみていて、週末から土日には支払う義務を負う側が子をみて食費など負担しているという場合に、2割程度を控除して算定したという事案があります。

支払義務を負う人が再婚し子が生まれた場合には?

 支払い義務を負う人が再婚して再婚相手との間に子どもが生まれたときは、支払い義務を負う人は新たに生まれた子どもと、再婚相手に対して扶養義務を負うことになります。
 算定するにあたっては、再婚相手の方に収入があるかどうかで変わってきます。再婚相手の方にもそれなりの収入がある場合は、再婚相手の方を考慮せずに、仮に支払い義務を負う人とそれぞれの子が同居したときを計算することになります。
 他方で再婚相手の方が収入がないときは再婚相手の方と子どもが支払い義務を負う方と同居したとみて、再婚相手の方の生活費指数を生活保護基準(厚生労働省が毎年発表します)から計算して59(成人の方ですと教育費の考慮がいらないため)で計算することになります。このあたりは再婚相手の方の潜在的稼働能力も含めての検討になると思われます。

認知した子がいる場合は?

 支払い義務を負う方に認知した子がいる場合は支払い義務を負う方は認知した子に対しても扶養義務を負います。認知した子どもの生活費指数は支払い義務を負う方と認知した子の母親の収入割合で按分して考えることになりますので、認知した子の年齢に応じて生活費指数の62か85に支払い義務者の基礎収入に認知した子の母親の基礎収入を加算して修正した生活費指数で考えていくことになります。

 このように、婚姻費用算定式にあてはまりきらない事情があるケースについては、個別に事情を踏まえて修正をすることで、できるだけ事情に応じた衡平な金額の取り決めができればと思います。

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