離婚問題のポイント

男性が押さえておきたい離婚問題のポイント

離婚が認められるか

「離婚が認められるかどうか」とは、「相手が離婚に反対をしていても最終的には裁判で離婚が認められるか」という意味で問題となります。

離婚できるかどうかが問題になるのは、相手方(妻側)と条件面、感情面で折り合いがつかない場合が大半です。

【条件面】

相手方(妻側)がお金の問題など様々な事情から離婚には応じない、もしくは未成年の子供の親権者がどちらになるか折り合いがつかない等でのケース

 ➡厳密には離婚が認められるかががシビアに問題になるケースばかりではない

【感情面】

相手方(妻側)が感情面(特に不倫・不貞をした夫からの離婚請求に関しては強いものがあるように思われます)の問題から離婚に消極的である場合には,離婚がそう簡単にはいかないケース

 ➡相当シビアに離婚が認められるかが問題となってくる

離婚できるかどうかは、「離婚理由が裁判で離婚判決を出してくれる理由になっているか」という視点がとても大切になってきます。

法律上定められている離婚理由

 離婚するかが争われている離婚裁判では,法律上定められた離婚の理由があるのかどうか等を判断していきます。

■法律上定められている離婚理由

  • ア 相手方に不貞行為があること
  • イ 悪意の遺棄
  • ウ 3年以上の生死不明
  • エ 回復しがたい強度の精神病であること
  • オ その他婚姻を回復しがたい重大な事由

こうしたことで、夫婦関係が修復できないことが必要となってきます。

それぞれの意味を簡単に触れます。

ア 相手方に不貞行為があること

 法律上は不貞行為の存在が離婚の理由ですが,あとで触れますように,離婚を求める側が不貞行為・不倫をしている場合,現在の裁判例では非常に高いハードルが離婚を認めてもらうにはかかります。
 ここでの不貞行為・不倫とは,いわゆる肉体関係が存在することが必要となってきます。

イ 悪意の遺棄

 簡単に言えば,正当な理由なく全く家庭を顧みない状態です。夫婦は,法律上互いに協力や同居などをする義務がありますが,ここを特に正当な理由なく果たさないことで該当するものになります。よくある例としては,離婚を迫った後で何ら生活費などの援助もなく出ていく場合が挙げられます。実際にあてはまるかはケースごとの事情によるでしょう。

ウ 3年以上の生死不明

 ここでいう生死不明とは,生きているとも死亡ともはっきりしない状態を言います。単に行方不明であるという場合は含まれません。特に生死不明の原因は問題となりません。話し合いが難しいこともあり,法律上調停をせず離婚裁判へ行くことも可能となっています。

エ 回復しがたい強度の精神病があること

 ここでいう精神病とは,統合失調症や双極性障害等が該当します。単にこうした病気に相手方がかかっていれば該当するわけではない点には注意が必要です。あくまでも,回復が困難であるといえる必要があります。また,熟年離婚などで問題となりかねない認知症については含まれるとするのは難しいことがあります。相手方の認知症を理由とする離婚の請求には裁判例上ハードルが存在しています。

オ その他婚姻を継続しがたい重大な事由

 性格の不一致や親族との折り合いが悪いなど多くの離婚を考える原因はこのカテゴリーに属することが多くなります。ここでのポイントは,夫婦関係が修復できないとご自身のお気持ちではなく第3者から見てもいうことができるのかということです。
 夫婦の関係は二人が修復する・離婚をするなど気持ちによるところが多くなりますが,離婚裁判での離婚となると強制的なものになります。そのため,第3者から見て,修復ができない状態=破綻という状況が認められる必要があります。
 どういった状況が破たんした状況かは一概に言えないところがあります。不貞・不倫が存在する場合等ははっきりしますが,性格の不一致等の場合には様々な事情を考慮して夫婦が破たんしているといえるのかが問題になってきます。そのため,色々とこれまであったことを整理していくことが重要な意味を持ってきます。

不倫・不貞をしたけれども離婚を認めてもらえるのか

 裁判例上,こうした場合に離婚が認められるには高いハードルが課せられています。そのため,状況によっては到底無理であろうという場合があります。

 詳細は当事務所の別のコラム欄にも記載しますが,別居期間と同居期間・未成熟子がいるのか・離婚を余儀なくされる側が苛酷な状況に置かれるのか等様々な事情から,離婚を認めても信義に反しない場合には離婚が認められることになります。

 実際にどういった場合がそう言えるのかは一概には言えませんが,少なくとも不倫・不貞行為の相手と再婚をしたいから離婚という考えには高いハードルがあるといえるでしょう。こういった点を踏まえて,それでも離婚を求める場合には金銭面などの提示と相手の了解を得るための活動が大きな意味を持ってくる場合があります。

いわゆる性格の不一致とは?

 よく挙げられる離婚をしたいと思う理由の一つに「性格の不一致」があります。
お互いの考え方が合わなくなった・性格が合わなかった等様々な場合があり得ます。離婚調停の申立書の離婚理由欄にもありますが,仮に離婚裁判にまで至った場合にはそう簡単に離婚の理由とはならない点に注意をする必要があるでしょう。

 そもそも,「性格の不一致」という点を相手方(妻側)も共有しているとは考えられませんし,こうした事柄はそれまでの様々な小さな事柄の積み重ねによってもたらされることが多くなりがちです。こう言った細かい点からどのようにして夫婦関係が修復しがたいといえるのかをよく整理しておく必要があるでしょう。

 別居期間など様々な点を見ると離婚裁判に至った場合に問題が出てくる・早期の問題解決を図りたいという場合には,相手方の態度も見ながら,対応を考える必要も出てくるでしょう。

別居期間はどれくらい必要なのか?

 よく,別居をしていない状況では離婚をできないのでしょうか,という話を聞きます。また,「家庭内別居」という言葉もあります。別居の厳密な意味は難しい点がありますが,いわゆる「別居」とはお互いに離れて暮らすだけでなく,やり取りや協力など夫婦としての実態をなくした状態のことをいいます。もちろん,単身赴任の場合も別々に生活しているでしょうが,夫婦の間での様々なやりとりがある点に違いがあると言えます。

 「家庭内別居」では,同じ家の中には生活はしているけれども,生活は事実上別にしている状態といえます。どういった状況であればそのように言えるかはケースバイケースの話になりますので,弁護士にご相談をされるのも一つの方法でしょう。

 こうした「別居」とは先ほど触れた点にもありますように,夫婦の実態をなくした状態となります。そのため,こうした状態が続けば続くほど夫婦としての修復が困難になる傾向にはあるといえるでしょう。ただし,どれだけ別居期間があればいいのかははっきりとこうであるというものはありません。他の様々な事情によっても変わりますし,それまでの結婚期間などの要素によっても左右されます。

 もちろん,別居をしていないよりも別居をしている方が夫婦の修復が困難であるという話につながる可能性は大きくなるでしょう。ただし,他の事情から夫婦の修復が困難であると言えれば必須の要素とも言えません。ご自身の状況を整理してみることが必要です。

弁護士からのコメント

西丸 洋平

弁護士 西丸洋平

このように、離婚が認められるかどうかについてはケースバイケースの場合が多いため、一概には言えません。

まずは弁護士に状況を相談し、ご自身の離婚が認められる可能性を把握し、アドバイスをもらったうえで対応策を一緒に考えていかれることをおすすめいたします。

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